【連載】れいコラム No.23「放置」とは違います #県虐待禁止条例

(このコラムを最初に書いた10月7日時点、埼玉県議会で自民党が提出したある条例案に、日本全国がびっくりしていました。事の顛末も踏まえ、加筆して改めてアップさせて頂きます。)

埼玉県では、子どもは1人で家にいてはいけない。子どもだけで外で遊ぶのもいけない、登下校さえもいけない。なぜなら、それは「放置」であり「虐待」だから…。 「放置や置き去りによる悲惨な事件をなくすため」と称して、自民党埼玉県議団がそんな条例案を、 9/28に突如として提起しました。
自民党+公明党の2党によって数の力で委員会を押し通し、10/13の本会議でも同様に2党で可決する構えを見せました。

共産党などの質問により、多くの子育て家庭で普通に行われている光景が「放置」「虐待」と決めつけられる事が明らかになりました。議会はもちろん日本全国が驚き、マスコミも 「頭おかしい条例」 などと大きく報じました。
新婦人、さいたま市PTA協議会など多くの市民団体が異議を唱え、わずか1週間少々のうちに反対署名が10万筆を超えました。
さすがの自民党も慌てて、本会議での採決は見送られ、団長の田村たくみ氏が 「説明不足」 をわびる、という顛末になりました。

子育ての実際を知ろうともせず、何と雑な発想か…と驚きます。共産党など多くの人が、保護者にあまりに非現実的な負担を一方的に押し付ける内容に怒りの声を上げていました。でも私は、子ども達の自由を大きく制限する内容である事に、まず驚きと憤りを感じました。
子どもとその保護者の意思や判断、選択を尊重せず、現実離れした広範な禁止事項を突然定め、負担を強制してはばからない。直近の他の問題でも感じてきた、自民党による 「人権」を軽視する政治が、典型的に表れたと思います。
子どもや保護者(特に母親)を特になめている事の表れでもあると思います。例えば「高齢者による悲惨な事故をなくすため、〇〇歳になったら免許強制返納!」などという事は、彼らは言わないはずです。

当然ですが虐待をなくすためには、貧困対策や親も含めた子育て支援こそ必要であり、政治の仕事だと思います。自民党埼玉県議団は、ろくに現実を把握もできていないのに上からズレた禁止事項を振りかざしている暇があるなら、本気を見せてほしいと思います。賛成した公明党も。