いつもこのコラムを連載させて頂いている、週刊「とばめぐみニュース」。2週間前に発行された No.228 号でとば議員が詳しく取り上げたのが、さいたま市の「放課後子ども居場所事業」(仮称)です。
この事業の問題点は、ごく簡単にとらえるなら、誰でも利用できるようにするかわりに子ども達の「保育」を放棄して、「物理的な居場所提供&ただの見守り」にすり替える、という点だと思います。
先日、子どもの学童を経由して、この事業についてのアンケートに回答するよう市からプリントが来たので、回答しました。
「就労要件を満たさずとも、月4千円で17時まで子どもが小学校内で過ごせる事業があれば利用したいか?」との趣旨の設問がありました。「子どもを保育する」という表現をうまく避け、保護者の負担軽減ばかり強調する文章に、ずるさを感じました。「多くの保護者が希望しているので進めます」と言うための誘導か?と疑いました。
活気にあふれ、思った事が即言葉や行動につながるのが子どもです。子どもの集団には日々、ケンカやいわゆる「ヒヤリ・ハット」 な事、予期せぬ出来事が色々と起きるのが当たり前です。だからこそ学童保育には定員が設定され、指導員が子ども達に関わり、安心・安全な集団にしています。
個々の指導員のキャリア、あるいは人数自体が不足するなどして、指導員の影響力が弱まると、たちどころに子どもの集団は不安定になっていきます。力のある一部の子が集団を牛耳るようになったり。悪ノリ、悪ふざけ、いじわるなどで嫌な思いをさせる子ども、させられる子どもが出てきたり。物が壊される事が多くなったり、場合によってはけが人が出たりもします。私と子ども達は、これまでの10年間で身をもってその事を体験してきました。
私達保護者が必要としているものは、「物理的な居場所&ただの見守り」ではなく、自分に代わって責任をもって子どもを預かり、育んでくれる「保育」 であり、安心・安全な子どもの居場所です。
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【連載】れいコラム No.23「放置」とは違います #県虐待禁止条例
(このコラムを最初に書いた10月7日時点、埼玉県議会で自民党が提出したある条例案に、日本全国がびっくりしていました。事の顛末も踏まえ、加筆して改めてアップさせて頂きます。)
埼玉県では、子どもは1人で家にいてはいけない。子どもだけで外で遊ぶのもいけない、登下校さえもいけない。なぜなら、それは「放置」であり「虐待」だから…。 「放置や置き去りによる悲惨な事件をなくすため」と称して、自民党埼玉県議団がそんな条例案を、 9/28に突如として提起しました。
自民党+公明党の2党によって数の力で委員会を押し通し、10/13の本会議でも同様に2党で可決する構えを見せました。
共産党などの質問により、多くの子育て家庭で普通に行われている光景が「放置」「虐待」と決めつけられる事が明らかになりました。議会はもちろん日本全国が驚き、マスコミも 「頭おかしい条例」 などと大きく報じました。
新婦人、さいたま市PTA協議会など多くの市民団体が異議を唱え、わずか1週間少々のうちに反対署名が10万筆を超えました。
さすがの自民党も慌てて、本会議での採決は見送られ、団長の田村たくみ氏が 「説明不足」 をわびる、という顛末になりました。
子育ての実際を知ろうともせず、何と雑な発想か…と驚きます。共産党など多くの人が、保護者にあまりに非現実的な負担を一方的に押し付ける内容に怒りの声を上げていました。でも私は、子ども達の自由を大きく制限する内容である事に、まず驚きと憤りを感じました。
子どもとその保護者の意思や判断、選択を尊重せず、現実離れした広範な禁止事項を突然定め、負担を強制してはばからない。直近の他の問題でも感じてきた、自民党による 「人権」を軽視する政治が、典型的に表れたと思います。
子どもや保護者(特に母親)を特になめている事の表れでもあると思います。例えば「高齢者による悲惨な事故をなくすため、〇〇歳になったら免許強制返納!」などという事は、彼らは言わないはずです。
当然ですが虐待をなくすためには、貧困対策や親も含めた子育て支援こそ必要であり、政治の仕事だと思います。自民党埼玉県議団は、ろくに現実を把握もできていないのに上からズレた禁止事項を振りかざしている暇があるなら、本気を見せてほしいと思います。賛成した公明党も。
【連載】れいコラム No.22 ファミサポのIさん #ファミサポ
6年前、子どもが2人ともまだ乳幼児だった頃からずっと私の子育てをサポートして下さっている、I さんという方がいます。
市の「ファミリーサポート事業(ファミサポ)」を通じてお世話になっています。
仕事で帰宅が遅い日、私の代わりに学童に迎えに行き、ご自宅で手作りの夕飯を食べさせて預かって下さいます。習い事の送迎をお願いする日もあります。
I さんは子どもの良い所を見つけてはほめてくれ、「ママさん本当に頑張ってます!」と私の事も応援してくれ、今では私の分身のように思っています。
ファミサポ事業は、保育園などの施設だけでは届かない所で子育て家庭を支えてくれる、なくてはならない事業だと思います。それを支えているのは I さんのような有志の方々です。
「有償ボランティア」 という立場になり、その報酬は1時間700円と超低額です。またファミサポのホームページによると、活動中にコロナ感染しても保険対象外で補償はないそうです。
子どもや仕事の都合で、直前の依頼や、依頼内容のキャンセルや変更が多いです。困った時だけ不定期で依頼される方も少なくないそうです。よって、別の仕事と掛け持ちするのが難しい仕事ですが、有償ボランティアという事で 「仕事」とし成立する形にはなっていないのが現状です。
市はボランティアの「善意任せ」に留まらず、報酬や補償を厚くして事業をもっと充実させていってほしいです。
【連載】れいコラム No.17 #夏休み
7/22~8/28 まで、小5と小2の子どもが夏休みでした。これまで長期休みは保育園や学童保育にお世話になってきましたが、今年は諸事情により家で過ごさせる事が多くなりました。
子ども達を「家庭だけで見る」日々は、産育休の時以来でしたが、とてもプレッシャーでした。そもそも平日は仕事で、子ども達を置いて家を出るしかなく、「見る」事すらできませんでした。
去年までは、毎朝保育園や学童保育に送りさえすれば、保育士さんや指導員さんがバトンを引き継ぎ、集団の中で思い切り体を動かして1日過ごさせてくれるので、安心して仕事に行けました。それがどんなにありがたい事だったか、今回身に沁みました。
保育園や学童保育は、ただバトンを受け取るだけでなく、子どもが 「安心・安全に、居心地よく過ごせる」 状態で預かってくれるからこそ、預けられます。
「安心・安全に、居心地よく」 …。とても難しい事だと思います。子どもの集団は大人の集団とは違います。保育者は、例えば学童から公園などへの移動の際、車道に飛び出すなど危険な行動がないよう、目を光らせます。外遊びの間も、危ない事をさせないよう遊びながら全体を見ています。外遊びをしたい子、室内で遊びたい子、元気な子、寝不足な子、風邪気味の子、、、色々な性格や体調の子がいる中、それぞれが居心地よく過ごせるよう配慮します。子ども同士ゆえ小さなトラブルは日常茶飯事なので、子ども同士で解決できない場合は保育者が間に入ります。
「安心・安全に、居心地よく」 過ごすためには、保育者が子ども1人1人にきめ細かく配慮して対応することが欠かせません。でも今、保育園や学童保育に対する日本の予算はあまりにも少なく、必要な人数を確保したり、長く働き続けて経験値を積んでいく事がとても難しい状況だと思います。
通園バスでの置き去り事故や、保育中の暴言や暴行など、いたたまれないニュースも頻繁にあります。必要な予算をつけない悪い政治のしわ寄せが、保育の現場に、子ども達に、もろに行ってしまっているのを苦しい思いで感じています。